子供が「足が痛い」「足首が痛い」「膝が痛い」って言うんで、お医者さんに診てもらったんだけど、「成長痛ですね」って…結局様子をみるしかない。
ひどく痛む訳でもないケドなかなか治らないし、治ったと思ったらしばらくするとまた痛がる。
脚をかばうような時もあって、本当に放っておいて大丈夫なのかと心配になる。
思いっきり走れないだろうし、続くんだとしたらかわいそうになってくる。
そんなアナタに、なにかヒントになれば。
ウチの子の ”成長痛” きっかけの出会い
ウチの小学校 1 年生の子供も、幼稚園の頃からなんのきっかけもなく「足が痛い」って言う事がありました。
一応、ボクも身体と動作の専門家、理学療法士の端くれとして、原因を追究してみたものの、”こうしたらココが痛む”っていうようなハッキリした症状がないもんで、よく分からず仕舞いでした。
ウチの奥さんが念のためにと整形外科のお医者さんに診てもらいに行ったら、案の定、「成長痛ですね」といって様子をみる程度しかできないと言われました。
このお医者さんは、結構地域で腕が良いと言われていて、信頼できるお医者さんなんですが。
ところで、ボクも小さい頃、何もしてないのに足の甲が痛んだり、足首が痛んだりしていました。
関節が緩い自覚はあって、骨同士のかみ合わせが微妙にズレてるというような、そんな痛みでした。
ウチの子も関節が緩くて、よく似た症状だったもんだから「大人になれば治るよ」と諦めていました。
そんなこんなで ”成長痛” が日常的になっていた頃、ウチの子が、買ったばかりの靴が合わなくて踵が痛むと言うんです。
その靴は、有名じゃないメーカーの靴だったんで、やっぱりしっかりしたメーカーのじゃないとダメかなと思って、靴を買いに出かけました。
いつも行ってるイオンの中にある専門店です。
ボクの靴選びの認識は…
裸足に近いものが良い。
だから、靴底のクッションが柔らかくて、足のたわみを邪魔しないものが良い。
メーカーによって靴の横幅が違うから、足が幅広ならニューバランス、アシックス、ミズノあたり。
靴ひもタイプだと、足の形に合わせて調節がしやすい。
そんな程度の認識でした。
理学療法士を十数年していますが、周りを見ていても一般的な理学療法士は靴についての知識はほとんどありません。
装具をつくる時にお世話になる義肢装具士の中には、靴選びにも一家言もってる人もいて、ボクはそういう人と話する事もよくあったんで、受け売りではあるものの、どちらかというと知識は多少ある方かなと思っています。
さて、そんなボクが我が子のために、イオンの中にある専門店で靴を選んでいました。
ウチの子の好みとボクの基準が合うもので、サイズの合う靴がなかったので、在庫がないか念のために店員さんに声をかけてみました。
その時、ウチの奥さんが「踵が痛いって言っていて…」と不意に一言添えると、その店員さんの目つきが変わりました。
「踵のどこが痛むんですか?」
「足の裏?後ろ?横?」
といってウチの子の足を触って確かめていきます。
足を上に曲げて(背屈させて)…
「あ~、緩いですね。足先が外側に逃げていって…足首が結構不安定ですね。今履いてる靴だと、靴底が捻じれにも弱いし、踵を包む部分が柔らかすぎて全然サポートできてないんで…。足が柔らか過ぎる子は、靴で守ってあげないといけないんですよ。最近、こういう子が増えてるんですよね。」と言って、靴を選び始めました。
「この足だったら、こういう靴の木型のものじゃないとダメですね。」
木型?
言葉自体は聞いた事あるけど、靴を選ぶ時にどう関係あるんだろう?
ボクの知らない知識をもっている!
プロの匂いがする!!
その後も身体の事をよくわかっている言葉の数々。
靴を作ったことのある人にしかわからないような視点。
場当たり的な営業トークじゃないって確信しました。
なので、失礼ながら思わず質問してしまいました。
「どんな勉強されてるんですか?シューフィッターとかですか?」
シューフィッターという靴の選び方を勉強する資格だというのは知識としてあったので聞いてみました。
「シューフィッターももちろん勉強してますけど…整形靴って知ってますか?それを作るドイツのマイスター制度の国家資格があって…」
噂には聞いた事があります。
ドイツには靴の”お医者さん”ともいえるプロがいるという事を。
まさか、こんなどこにでもあるような普通の靴屋さんに、そんな勉強をした人がいるだなんて(失礼)。
整形外科靴マイスター ”成長痛” を微細捻挫と診る
あとで調べてみると…
整形外科靴というのは、足にトラブルを抱えた人に、治療的な意味合いや快適に歩けるようにとオーダーメイドで作る靴の事です。
そして、整形外科靴マイスターというのは、3年半の見習い修行の後に前段階の国家試験を合格して、さらに4年間専門の知識と技術を習得してからマイスター国家試験を突破した人たちの事だとか。
理学療法士であるボクよりも、靴とそれにまつわるトラブルに明らかに詳しく、明らかに経験があるのが話をしていてわかりました。
悔しいですが、靴を作る機会のないボクら理学療法士には歯が立たないと悟りました。
その店員さん、整形外科靴マイスターさんが言うには、 ”成長痛” の多くが微細な捻挫なんだとか。
ちなみに ”成長痛” っていうのは俗称で、医学的に確立された診断名ではないんですが、原因がはっきりしない子供の手足の痛みに便利に使われてしまっているようですね。
軽微な捻挫という見方は、自分の小さい頃の症状を思い返すと、すごく納得がいきました。
足は小さい骨が集まってできています。その骨同士が靭帯でつなぎ合わさっています。
歩いたり走ったりする一歩一歩に、地面から衝撃が伝わります。
本来、小さい骨同士の間でやわらげられるはずの衝撃が、地面が固いために対応できるような衝撃じゃなくなってしまって、骨同士の間で微細な損傷を起こすと訳です。
さらに地面からの衝撃というのは、膝や腰へと伝わり、膝痛・腰痛なんかも引き起こすという訳です。
靴はその衝撃をやわらげたり、足が捻じれるのを防いだりする大切な役割があるんだと。
それを聞いて、「裸足が良い」、「裸足に近い靴が良い」というボクの認識が間違っている事も悟りました。
というのも、昔は地面が柔らかかったから裸足でよかったのであって、現代にその認識は通用しないという事です。
昔は、屋外なら土や草地、屋内なら畳。地面自体に多少のクッション性があった。その上での裸足なんだと。
現代は、アスファルト、コンクリート、床板。学校の校庭は土ですけど、ガチガチに固められています。
そうした固い地面には、靴は必要なんだと。
”成長痛” はクツの専門家へ相談を
整形外科のお医者さんは、骨、関節、筋肉の専門家です。
でも、一般的な整形外科医は、骨折とか、リウマチやら老化による関節の破壊とかいった手術が必要になるようなレベルの専門家ではあっても、日常生活に大きな支障がないような痛みや、レントゲンに写らないような小さな損傷にはほとんど関心がありません。
何人かの整形外科医と一緒に働いた事があるボクの目にはそう映っています。
そういった軽い損傷については理学療法士や柔道整復師の出番ですが、いかんせん靴が関わってくると、対応できる人がどのくらいいるか…甚だ疑問です。
”成長痛”に悩む人は、整形外科靴マイスターを探してみてはどうでしょう。
ただ正直、そんな人材がこの日本のどこに、どれだけいるのかはわかりません。
インターネットでちょっと調べるだけでは、全然ヒットしませんでしたから。
代わりと言っては角が立ちますが…
OSM(オ-ソペディ-シューマッハマイスター)というので調べると、そういう勉強をしている会がありました。そこでは十数店舗紹介されています。
シューフィッターで調べると、全国にいるシューフィッターさんを検索できるページがありました。4000名弱の有資格者がいらっしゃるみたいです。
”成長痛”に悩むアナタの手助けになってくれる人が見つかりますように。
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