
子どもの自転車の練習につきあってるんだけど上手くすすまなくって…
自分のときは転びながら、頑張ってのれるようになったもんだけどなぁ。
補助輪が必要なのかなぁ?
最後はスパルタ式でやるしかないのかなぁ?
コツを教えてあげられたら、子供にとっても教える自分にとってもストレスがなくて良いんだけどなぁ。
と、奥さんにもせっつかれて途方に暮れているアナタ。
そうです、自転車にのれるようになるには教えるべきコツがいくつかあるんです。
自転車を転ばずにのれるようになる方法をお伝えしていきましょう。
ここでお伝えするのは、動作を教える専門家である理学療法士が、障害をもった方への練習を探求した経験を我が子に応用し、結果、我が子2人が、一度も転ばず5歳まにのれるようになった方法です。
Step 1. 自転車をおす

自転車のハンドルをもち横に立っておしましょう。
自転車が2つの車輪でバランスをとる感覚、ハンドルを行きたい方へむける感覚をつかんでもらいます。
とはいっても、こんな面白くないことを子供にさせようとしてもスグ飽きてやめてしまいます。
なので、これは知られないように練習させるといいでしょう。
自転車置き場から練習場所に移動するとき、自転車が倒れて起こすとき、上り坂をおして行くとき、自転車置き場へもどすとき…そんなちょっとした機会に、子ども自身で自転車をおさせるようにしましょう。
手伝わず子どもにさせる態度を貫いてください。
もちろん、車が通って危ないなど、子どもひとりでは難しい場合なんかは手伝ってあげてください。
自転車をおす機会をのがさず、子どもに当たり前のようにさせながら、このあとに紹介する Step 2. と同時進行でしていきましょう。
Step 2. 自転車にまたがって歩く走る翔ぶ

自転車にまたがって歩きましょう。
自転車に体重をのせる感覚、自転車にのってバランスをとる感覚、ハンドルを操作する感覚をつかんでもらいます。
自転車にまたがり、サドル(座席)にすわって歩きましょう。
最初はよちよち歩きでもかまいません。
するたびに速くあるけるようになっていきますから。
そのうち、ピョーンと両足を地面からはなして遊びはじめます。
そして、走るように、翔ぶように駆けていくようになります。
速さとその快感から、ほっておいても夢中になって”練習”することでしょう。
ときには、大人が並んで走って散策にいってもいいでしょう。
子どもにとっては普段は歩いてだと行けないような遠いところまで行き、冒険するワクワクを味あわせてあげましょう。

この時のポイントが3つ。
1つは、両足が余裕をもって地面につくように、サドルの高さを調節してあげること。
怖さを感じさせてはいけませんし、難しさを感じさせてもいけません。
2つめは、足を動かすのにじゃまになるペダルをとってあげること。
ペダルを取り外せるならそれでもいいですし、ストライダーを代わりにつかってもいいでしょう。
ストライダーというのはこんな乗り物です。

ちなみにストライダーは、自転車の練習用だけにおさまるものではありませんので、自転車にのれるようになってからもムダにはならないと思います(興味があれば上の画像から正規ショップサイトへ行けるのでどうぞ)。
自転車とはひと味ちがう楽しさがあるようで、うちの子も近所の子ども達も、自転車にのれるようになってからでも小学4年生くらいまではよく使っていました。
自転車がのれない子に貸して、自分は自転車であそぶなんて姿もよくみかけました。
そうやって一緒に自転車で遊べる相手がいると、競走したり、追いかけっこしたりする中で、上達が格段にはやまります。
ストライダーのひと味ちがう楽しさはこちらで紹介されています。
3つめは、なにより大切なこと、大人が先回りして危険を回避させてあげることです。
この頃の子どもにとっては、危険へ頭がまわりません。
どんな危険があるかもわかっていませんし、危険を回避する方法なんてさっぱりわかっていません。
この辺りを子供に求めてしまうと、自転車にのれるようになるのは小学校高学年まで先延ばしになってしまうでしょう。
大人がつきそって危険があれば先回りして声をかけ、どうしたら良いか教えたり、誘導してあげましょう。
子どもに「カンタン」「ヨユー」「ラクショー」だと思わせるのが成功の鍵です。
Step 3. 自転車にのって緩やかな下り坂を疾走る

自転車にのって緩やかな下り坂を疾走りましょう。
Step 2. がある程度できるようになれば、ゆるやかな下り坂では自転車にのれていると言っていいような乗り方ができるでしょう。
自転車にのってバランスをとる感覚を90%まで養い、自転車のスピード感に慣れてもらいます。
ここでつかう坂は、普段なら坂があるとは思えないくらい緩やかなところにしましょう。
それと、下ったさきに人や車がとおらない安全な場所にしましょう。
距離は短くても結構です。
この段階ではブレーキがまだつかえないので、スピードが出すぎない緩やかな坂じゃないと怖さを感じさせてしまいますし、なにより危険です。
この”練習”では「のれた~!」とうれしそうに叫ぶ我が子の声がきけるでしょう。
大人からしたらまだ乗れてはいないんですが、子どもにとっては一番うれしい瞬間かもしれません。
自転車にのって下っては押して上り、下っては上り、下っては上り… 風をきって疾走る爽快感から、大人が呆れるくらい飽きもせずに繰り返し繰り返し”練習”することでしょう。
ただ、危険もともないますので、調子にのりやすい子、活発な子の場合は特に注意してハメを外さないように見守ってください。
Step 4. 自転車をスタンドに立てたままこぐ

自転車をスタンドに立てたままのって、ペダルをこぎましょう(空回りさせましょう)。
自転車にのってバランスをとる感覚の最終仕上げにはいっていきます。
これまでの練習で、ペダルをこぎさえしなければバランスをとれるようになっています。
それがペダルをこぐと途端にバランスを崩してしまいます。
そもそもペダルをこぐこと自体が日常にない不自然な動作ですので、まずはペダルをこぐ動作を身につけてもらいましょう。
自転車をスタンドに立てたままのってペダルをこぐだけ。
それだけをします。
最初は、スタンドで固定しているのにグラグラして倒れそうになるでしょう。
でも、すぐに慣れて全力でこげるようになるでしょう。
立ちこぎしてもグラつかないくらいまでなると十分すぎるレベルです。
1日もかからないかもしれませんが、練習としてさせてしまうと、つまらなくてやめてしまいます。
一度経験だけさせたら、あとは放っておいてもいいかもしれません。
アナタも遊びでしませんでしたか?
全力でこいで、ガラガラガラガラ〜っと車輪を空回りさせてみる… そしてタイヤに小石を投げてみたり、棒で止められるか試してみたり、急ブレーキをかけてみたりなんて。
ひとりで暇なときや、友達といるときのよくわからない流れで… 今かんがえるとなにが面白かったんでしょうね。
Step 5. 自転車をこぐ

こぐ動作が身についたら、それをStep 2.の「自転車にまたがって歩く走る翔ぶ」や、Step 3.の「自転車にのってゆるやかな下り坂を疾走る」の延長でペダルをこいでみましょう。
とうとう自転車にのってバランスをとる最終段階です。
「ペダルをこいでごらん」と一声かけるだけでいいでしょう。
ペダルをこいでみようかなと思わせさえすれば、試行錯誤しはじめることでしょう。
そして、ふとした瞬間に「できた~!!」とうれしそうに叫ぶ声とともに満面の笑みを目にすることでしょう。
教えてきたアナタにとっても、一番うれしい瞬間かもしれません。
こうなると、自転車で友だちと競走したり、追いかけっこしたりしはじめます。
そういう相手がいないようなら、アナタがその相手になってあげたり、”冒険”に付きあってあげたりするのもいいでしょう。
ここまでくれば練習は卒業です。
子どもはほっておいても自転車で遊びだします。
遊びが子どもにとっては一番の上達の近道なので、しめたものです。
Step 6. ブレーキを使う

Step 5.までで”自転車にのれるようになった”満足感にひたりたいところですが、子どもの安全のためにはあともう一息です。
たしかに家のまわりでは自転車で十分あそべるでしょう。
でも、ブレーキが使えないと、下り坂ではスピードがですぎるし、通行人や障害物をとっさによけることもできないし、道をまがるのも道をわたるのも危ない。
近所であっても自転車ででかけるなんて、まだまだ無謀といえる状態です。
安全のためにブレーキは必須です。
ただ、ブレーキを使おうにも指がとどかなければ、どうしようもありません。
こればっかりは成長を待つしかないでしょう。
練習したり、コツを教えたりしてどうにかなるものではありません。
もしかするとブレーキが使えないせいで自転車にのらなくなってしまうかもしれませんが、心配はいりません。
アナタのお子さんは、すでに身体でおぼえています。
ブレーキを使えるくらい手が大きくなれば、すぐに感覚をとりもどして乗れるようになるでしょう。
あまり心配せず、Step 5.までできたことを喜んで、子どもの成長をたのしみに待ちましょう。
Step 7. 危険を避ける

アナタのお子さんが成長してブレーキに指がとどくようになったら、ついに最終段階です。
危険を避けられるように、一緒にでかけてアナタの経験をしっかり伝えましょう。
- 交差点では、手前でとまって「ミギ・ヒダリ・ミギ」
- 車や自転車が近くにきたらとまり、安全になったら発進
- 下り坂ではブレーキを使ってスピード調節 などなど
一緒にでかけると、いろんな場面に遭遇することでしょう。
アナタが今まで培ってきた危険回避の経験と判断力を、大切なお子さんに引き継ぎましょう。
言葉だけでなく、実地体験をとおして伝えましょう。
お子さんが自分で判断して危険回避できるようになるまで、同じような状況であっても繰り返し繰り返し伝えてあげましょう。
ここでは、緊張感で気がぬけず、ヒヤヒヤする思いもします。
でも、大事なことを真剣に我が子へ伝えるのは機会は、人生でもそう多くないかもしれません。
そう考えれば、アナタにとってもお子さんにとっても貴重で大切な時間になるでしょう。
ただ、危険を十分に避けられるようになるかというと、小学生高学年になるくらいまではなかなか難しいかもしれません。
そこは子どもの能力の限界のようにも感じます。
なので、小学生高学年になって危険を十分に避けられるようになるまでは一緒にでかけて、親子で楽しい時間をすごせる機会だと気持ちを切り替えましょう。
それと、付き添えないときのために、自転車に乗っていい範囲、子どもだけで行っていい範囲をあらかじめ決めておきましょう。
まとめ

自転車を転ばずに乗れるようになる方法を7つのStepにしてお伝えしました。
自転車の乗り方を教えるのは、幼稚園や小学校の先生にお願いできない数少ないものかもしれません。
それだけに、困ること、戸惑うこと、イライラすることも多いでしょう。
でも、この記事が少しでも役に立ち、自転車の乗り方を教えるこの機会をすこしでも前向きに捉えられるようになっていただければ幸いです。
最後にもう一言。
子供に運動を教えるときの一番のコツは「習うより慣れろ」です。
言い方を変えると「教えるより慣れさせろ」です。
大人はどうしても理屈をおしえたくなりますが、子供は理屈を聞けば聞くほど「?」が増えて、「???」くらいまでなるとイ゛ーっとなってしまいます。
言いたいことの1/10だけ伝えるようにしても多すぎるかもしれません。
細かいことは気にせず、多少おかしな事をしていても、子どもが楽しめるようにおおらかに見守りましょう。
こんな事を言ってはアレですが、自転車にのれなくても死にはしません。
失敗してもいいという心がまえでいいんではないでしょうか。
この記事で、アナタの大切なお子さんが転ばず自転車にのれるようになるのに少しでも役立てば幸いです。
そして、自転車にのれるようになるまでの時間が、親子にとっての貴重で大切な思い出になるのに少しでも役立てば幸いです。
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